ほたるの里 桜づつみホタル水路 [心に残る景色]
信州で暮らす中で、毎年楽しみにしているのが、夏至の頃に舞うホタルです。
ホタルといえば、南信辰野町が名所です。
ホタルは水が綺麗で、苔と木陰があり、餌となるカワニナが十分いるなど、
自然環境の良い所にしか育ちません。
近年、信州ではホタルが育つ環境づくりに力を入れ、あちこちで見られるようになりました。
東信上田市もその一つで、ほたるの里として環境整備を進めています。
私が訪れたのは。上田市下塩尻にある桜づつみホタル水路です。
ここでは、一度ホタルが絶滅してしまいました。
下水道が整い水質が良くなったことなどから、10年ほど前からホタルが見られるようになったそうです。
下塩尻桜づつみホタル会の皆さんが水路の水質管理をしてくださっています。
市内の保育園などでホタルの幼虫を育て、4月に1,700匹ほど放流しました。
ホタルが舞うピークの時間帯は午後8時です。
子どもからお年寄りまで、大勢集まっています。
スーィッスーィッと舞うホタルに歓声があがります。
水路の上でゆらゆら光り、幻想的な雰囲気です。
写真上は、草に止まっているホタルです。
写真では分かりませんが、頭は赤く、胴は黒いです。
お腹側のお尻2節が光っています。
この光りは、雄、成虫になったばかりのホタルのほうが強いです。
写真上は、地面を這っていたホタルが飛んだところです。
ホタルは蒸し暑く、風がない日に多く発生します。
この日は涼しかったので、高く舞うことは少なく、繁みで発光していました。
上田市のHPによると、この日は600匹、前日は2,000匹発生したそうです。
同じ場所でも、少しの天気の変化で変わります。
環境汚染が改善され、幼虫を放流しなくても自然と繁殖し、
ホタルが飛び交う風景を目にできるようになるといいですね。
ホタルを写真に治めるためには、露光時間の調整と三脚が必要です。
くれぐれも、フラッシュ撮影をしないようにお願い致します。
上田市 桜づつみホタル水路のご案内
イベント期間 2009年6月10日(水)~30日(火)
場所 上田市下塩尻 桜づつみホタル水路
見頃の時間帯 19:30~21:30
アクセス
上信越自動車道 上田菅平ICより車で15分
国道18号線を上田市市街地から坂城町方面へ向かい、信号「下塩尻」を左折
期間中、周辺の道路は一方通行です。
案内看板にしたがってお進み下さい。
無料駐車場あり
しなの鉄道 西上田駅より徒歩10分
お問い合わせ
上田市観光課 0268-22-4100
上田市HP ホタル情報のページ
http://www.city.ueda.nagano.jp/hp/kisetu/hotal.html
長野県辰野町松尾峡は古くからホタルの名所として有名です。
しかし1960年代に,主として観光目的で,地元産ゲンジを補うために,膨大な数のゲンジ幼虫や卵が,他県業者などからの購入や譲渡によって,放流されました。それによって,今のゲンジ集団の基礎が築かれました。
しかし移入ゲンジと地元産ゲンジは,遺伝的系統も発光周期も異なっています。
最近の研究によって,松尾峡では他県産ゲンジが地元ゲンジを圧倒し,地元産ゲンジは増えるどころか,壊滅的な打撃を受けたことが明らかとなりました。この影響は、放流が無かった下流地域まで及んでいます。つまり、地元産ゲンジが子孫を残しにくくなっているのです。
しかし,この地を管理しホタル祭を実施している町役場は,この移入の歴史を伏せていて,ホームページやパンフレットでは地元産ゲンジを増やしてきたかのように述べています。また,ホタル保護と銘打っていても,松尾峡では移入ゲンジを増やしているだけで,観光に役立たないヘイケの生息地は破壊され,荒地や駐車場となっています。
私たちホタル研究者は,このような観光優先の移入ゲンジ養殖政策を改めるように申し入れていますが,全く無視されています。
ここ,松尾峡はゲンジボタル生息地として,県の天然記念物に指定されています。今年(2009),ここでゲンジを無断捕獲した男性が,天然記念物保護条例違反として警察に突き出され送検されました。しかし,役場がしている移入ゲンジによる在来ゲンジの迫害には,これまで何のお咎めもありません。そもそも,この条例には,採るな,減らすな,荒らすな,というような規定はあっても,他地域から入れるなという規定がないのです。しかもゲンジ対象なので,ヘイケの生存が脅かされても全く問題にならないという,おかしな話なのです。
観光優先で,地域おこしに役立てば生物多様性の犠牲もやむなし,というようなホタル飼育を実施する行政と,それに対処できない天然記念物保護条例があるのです。
詳しくは、kumageraのブログを見てください。
by kumagera (2009-11-02 05:38)
kumageraさん、コメントありがとうございます。
コメント承認が大変遅れ申し訳ありませんでした。
辰野町のホタルは他県産なのですね。
大変詳しい情報を頂きありがとうございます。
地方暮らしを始め、地域興しと自然保護は相反するなと、
常々思います。
地域経済を考慮すると、人々の願いは様々なのでしょうね。
kumageraさんのブログ、見せて頂きます。
by mizunara (2010-01-05 23:25)