茂来山 新緑ハイキング 山野草とルリビタキ [ハイキング]
4月中旬桜が散る頃、信州の山はようやく芽吹き始めます。暖かい日差しと、鳥のさえずりに誘われハイキングに行きたくなりました。この時期、標高が高い信州の山は残雪があります。また、冬眠から目覚め餌を求める熊に遭遇する可能性があるので、経験と体力を考慮して山選びをします。
そこで、東信佐久穂町と小海町の境に位置する茂来山(もらいさん)に行くことにしました。茂来山は標高1718m、「霧久保沢コース」と「槙沢コース」の二つの登山道があり、後者のコースから登ることにしました。
写真左 槙沢コース登山口入り口付近
写真右 ミヤマキケマン ケシ科 と思われる
ゆるやかな渓流沿いは、鮮やかな苔が美しいです。
草木の下刈りが行き届いた山道を、木に結ばれた赤いテープを頼りに登っていきます。
昨年秋の落ち葉がふかふかに積もっていて、くるぶし上まで埋まる深さです。
沢には地下水が流れ込み、堆積された岩と岩の間から、ゴーゴーという音が冷気とともに聞こえてきます。
歩きだして程なく、春一番に咲きだす白系の小花があちこちに咲いていました。
写真上 ニリンソウ キンポウゲ科
少し湿った林に咲く。朝、太陽の光を浴びると花が開き、夕方になると閉じてしまいます。
つぼみや咲き始めは薄くピンクに色づいていますが、数日たつと真っ白になります。
二輪目より一輪目のほうが花が大きく、群生で咲くとふんわり見事です。 ここでは背丈が低く4㎝ほどでした。
写真上 エイザンスミレ スミレ科
数多いスミレのなかで、葉が大きく切れ込み根元が3つに分かれているのが特徴です。
この葉、夏になると形が変わります。
桜を思わせる薄いピンク色がとても綺麗です。
写真上 ヒトリシズカ センリョウ科
美しい名前。沢山の花が集まり一つの穂となっています。
群生であちこちに咲いているのを見たのは、ここ茂来山で初めてです。
この花は天ぷらや和物で頂けるそうです。
山道を歩くことに気をとられていると、見落としてしまうくらい小さな花もあります。
下の2枚の写真、何という花かお分かりになりますでしょうか?
写真上 ヒゲネワチガイソウ ナデシコ科
写真下 ワダソウ ナデシコ科
判別に自信がないのですが、花びらの形や花のつき方で見分けます。ほっそりと、赤い雄しべが綺麗です。このように小さなお花はルーペで観察すると良いです。
新緑ハイキングの魅力は何も足元ばかりではありません。
見上げれば、ヒノキ、カラマツ、ダケカンバ、シラカバと寒い地域に育つ樹木からの木漏れ日が柔らかです。そして、我一番というばかりに野鳥がさえずっています。
まだ葉が開ききらないこの時期は、バードウォチングにはとても適している季節です。
木の芽をつついたり、巣作りに忙しい野鳥を見つけやすいのです。
耳をすませ、辺りを広く見渡しじっと待っていると、ほらほらいました。
写真上 ルリビタキ ツグミ科
体長14㎝ほど
尾だけが青いので、メスまたは若鳥と思われます。
ルリビタキはオオルリ、コルリとあわせて瑠璃三鳥といい、その高くとおる鳴き声と青く美しい羽色は人々を魅了します。標高1500m以上の針葉樹林帯で繁殖します。
鳴き声を耳にするだけでもラッキーなのに、姿を見つけカメラに治められた喜びはひとしおです。
他にも、キセキレイ、ウグイス、シジュウカラ、イワツバメなど賑やかにさえずっています。遠くでキツツキが木をつつく音も聞こえてきます。
花や鳥を見つけては立ち止まるので、なかなか山頂には着きません。
急勾配が続き、大きな岩をよじ登り、2時間で登れるところ3時間かかり、やっと登頂しました。
山頂は360°大パノラマが広がっています。
写真上 山梨県方面
八ヶ岳連峰
左端尖った山が赤岳
写真上 群馬県方面
荒船山、妙義山他
この日は薄い雲が多く、浅間山はシルエットが見える程度でした。
快晴の日には、遠く北アルプスも見えることでしょう。
思いの他、山頂は20数人と人が多く、持参したお弁当を食べながら、広く気持ちの良い眺望を楽しんでいました。
「次はあそこに見える山に登ろう。」そんなことを思わせる景色です。
整備された有名な山も良いけれど、自分のペースで歩き野鳥や花を観察できる楽しい山だと思います。この日はまだつぼみをつけていなかった、イカリソウやマイヅルソウを見るためにまた訪れたいと思います。
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